息子は幼稚園年長の後半からサッカースクールに通い始めました。
本人は「サッカー楽しい!」とは言うものの、
ボールは追わないし、目の前にボールが転がってきても触ろうともしないし、試合形式の練習では1回も触らずに終わることもありました。
そんな息子、リフティングの上達も苦戦しました。
そして、
できないのに練習しない息子を見かねた妻がモヤモヤ×イライラしている時期がありました。
この記事では、
- 練習しても上手くならなかったリフティングへのアプローチ方法
- リフティングについての夫婦の意見の違い
- 元プロフットサル選手の私(夫)が妻に「お願いしたこと」
をご紹介します。
リフティングができない息子
ボールが近くに転がってきても、
ドリブルもパスもしないでぼーっと突っ立ってるだけだし、キックはヘニャヘニャだし、相手のボールを取りに行こうとしないですぐ道を譲っちゃうし。
本当にサッカー楽しいのかなー?
と何回思ったことか。
そんな息子、
リフティングの上達も遅かったです。
小学1年時は1回、
小学2年生の夏になっても3回しかできませんでした。
3回できたといっても、3回目にぎりぎりボールに触れることができたという感じです。
息子に教えたリフティングのコツ
小学1年になり、
少年団チームでもリフティングらしき練習がはじまると、家の前でも少しずつ練習するようになってきました。
ただ、全然できそうになかったので、いくつかアドバイスしました。
- ボールをよく見る
- 身体の姿勢が悪くならないこと
- 背中を伸ばす
- 顔が下がり過ぎない=猫背はNG
- 足首を固定する
- 足首がグラグラしないこと
- 足の甲にあてる
- ボールの真ん中に当てる
- ボールを真上に上げる
全て基本的なアドバイスです。
最初はボールを投げること自体が下手くそでした。
手に持っているボールを真下に落とせばいいだけなのに、キックのことばかりに意識が向いてしまって、手で投げると同時にもう足が動いて、投げることもキックも両方がおろそかになってしまう。
変な方向にボールを投げてしまうこともあるのでボールに1回も触ることができないこともしばしば…
アドバイスしたものの、
全然できる雰囲気がない!
アドバイスをして何回か練習を続けても全然できなかったので、練習の難易度もかなり下げることにしました。
次のように、練習レベルの難易度を下げて練習することに。
- 風船でリフティング
- 手からボールを落として、
真上に蹴り上げて
手でキャッチする(1回ずつ) - ワンバウンド・リフティング
- 通常のリフティング
まずは、
家の中で風船でのキャッチボールやリフティング、
その後、小2ぐらいから、
ワンバウンド・リフティングで練習しはじめました。
でも、ここでもあまり上手くいかず…
上から落ちてくるボールを蹴った方がやりやすいはずなのに、息子はなぜかボールが地面にバウンドして上にあがっていく瞬間に蹴り上げていました。
リフティングはできるとは思えないけど、なんかそれはそれですごいタイミングで蹴っている。
なぜ、そのタイミングで蹴る?
もうハテナだらけでした。
このワンバウンド・リフティングのやり方は矯正しませんでした。
大人でもバウンドした直後のボールを蹴るのはタイミングが難しい技術なので、リフティングの回数は全く気にせず、長所として伸ばそうと思いました。
悶々とする母 vs 見守る父
息子はなかなかリフティングが上達せず、
リフティングの練習を始めてもすぐに飽きてしまい、他のことをはじめてました。
きっとできないから
楽しくなかったのでしょう
私はその気持ちが良くわかるのでそっとしておいてあげました。
しかし、毎日一番近くで見ていた妻はイライラが抑えきれません!
イライラする妻は何とかして息子に練習してもらおうと試行錯誤してました。
基本的に口うるさくしないスタンスで子育てをしてきたつもりでしたが、それでもつい口を出してしまいます。
リフティング練習したら?
リフティングやらないの?
お母さん、リフティングしてこよーっと
そんな妻の発言に対して、夫である私はこんなお願いをたびたびしていました。
お願いだから、無理に練習させようとしないでほしい!
”宿題”のように、サッカーの練習を義務のように思わせないでほしい!
私のお願いの後は、さすがに直接的な言い方は減っていきましたが、それでも間接的に誘い出して練習させようとしていました。
何度もこんなやり取りをしていたある日、私のお願いに対して妻はこのように返してきました。
でも練習しないと上手になれないじゃん!
サッカーを楽しむには上手くなった方がいいじゃん!
サッカーを楽しんでほしい!
サッカーを楽しむためには
ある程度上手になる必要がある!
と心配する妻の言い分は、私もよく理解できました。
でも妻の気持ちは理解できるものの、アプローチの仕方に対しては賛成できませんでした。
でもリフティングが上手になると、サッカーが上手になるの?
リフティングはいつか必ずできるようになるから大丈夫!
それよりも、
息子の成功体験や自主性を親が奪わないでほしい
このような夫婦のやり取りを何回もしていました。
リフティングが上達しなかった理由
なぜ息子はリフティングが
上手にならないのだろうか?
小学年低学年の息子を観察している中で、上達しない理由がいくつか考えられることがありました。
- 空間認知力
- 筋力
- 関節の可動域
- 性格
空間認知力
上に投げたボールを、手でキャッチする
投げたボールをキャッチすることは、簡単なようで、小学生低学年でもできない子が多いです。
息子も、どこにボールが落ちてくるのかわからなかったり、落ちてくるボールを怖がったりするため、自分の手を「どこに」「どのタイミング」で広げておけば良いかわからなかったりします。
まだ宙に浮いている物体を処理する能力が身についていないんですね。
リフティングでもこの空間認知力が必要なはすです。
空間認知は急に上達する能力ではなく、成長していくにつれて誰しもできるようになると思い、焦りませんでした。
その代わり、空間認知力を高めるために風船で遊ぶことを増やしました。
筋力
息子は、力の使い方が下手くそで、蹴り上げる力が強すぎたり弱すぎたりしていました。
さらに、ボールを蹴り上げることに精いっぱいになってしまって次の動きまでの余裕がありません。
まだ力のコントロールが上手くいかない時期なんだなーと思っていて、あまり深刻には考えませんでした。
関節の可動域
息子は股関節の可動域が狭く、次の動きへの移行がスムーズにできなくて、足が出すのが遅くなったり、足がうまく運べなかったりしているようでした。
股関節の可動域はすぐに広がることは期待できないため、リフティングの上達もすぐにはできないだろうと思いました。
性格
リフティングが上達するためにはとにかく「いっぱい練習すること」しかありません。
しかし、できないことをずっと続けるには相当の忍耐が必要です。
夢中になって練習できる子もいますが、息子はとにかく楽しいことをやりたがる傾向がありました。
また、人との比較に対してとても疎いところがあり、小学低学年まで「負けたくない!」という感情を見たことがありませんでした。
誰しもそのうち他者と比較して、悔しい思いをしたり競争に身を置いたりするんだろうと思い、焦りはありませんでした。
これらのことを考えていると、
リフティングの上達には、性格や身体的な成長などの要素が複雑に絡み合っていそうで
リフティングの成長スピードは
人それぞれなんだろうなー
と感じるようになりました。
リフティング練習は必要なのか?
小学校のクラブチームや強豪チームでは、リフティングの回数がチームへの入団条件や試合への出場条件にしているところもあるようです。
小学2年生になると、周りにもリフティング100回を超える子がチラホラで、ほとんどの子は10回以上はできるようになってきます。
我が子と周りの子を比べて余計に焦ってしまう親の気持ちもよく分かります。
リフティングの回数は数字として結果が見えるため、他の人と比べやすく、つい「上手い」「下手」のモノサシとしてしまいがちです。
でも、
そもそもリフティングの練習は
必要なのでしょうか。
息子のリフティング練習を見ている中で、私は以下のように考えるようになっていました。
リフティングの上達スピードが速くなる時期が必ず来る。だから焦る必要はない。
できない時期に無理に練習させようとすると、子供の自主性や成功体験を奪いかねない。
それよりも、遊びの中のミニゲームやキック練習を優先させる。
このように考えた理由として、リフティング練習のメリットとデメリットを整理してみました。
無理強いするリフティング練習の弊害
園児や小学校低学年でひたすらリフティングの練習をやらせるチームや親御さんもいますが、無理強いするリフティング練習による弊害・デメリットも少なからずあると思います。
では、どのような弊害があるでしょうか。
自主性・成功体験を奪う
リフティング練習は、
自分で目標を立て、
失敗と工夫 改善を繰り返し
目標達成することの成功体験
を味わえる自主練だと思います。
しかし、あくまで子供自身で目標を定めて、自主的に練習した場合であって、
もし親が干渉し過ぎてしまえば、子供の創意工夫や成功体験を奪いかねません。
- 親がリフティングの目標回数を定め、
- 無理やり練習させ、
- できない理由を教え、
- できたときの手柄を親が持って行く
このようなアプローチが本当に適切なのか考える必要があると思うのです。
いつか親元から離れる我が子に対して、
過保護に育てすぎていて良いのか?
失敗をしないように先回りしていて良いのか?
いつまでも親が我が子の近くで見守ることはできません。
だからこそ、
今よりも不透明な未来の社会でも路頭に迷わないように立派な大人に育ってほしいと思うのです。
指示待ち人間ではなく、自主的に行動できる人間になってほしいんです。
練習の優先順位
息子を見ていてもリフティングが上達する気配は感じられません。
それであれば、
上達スピードが遅い時に、イヤイヤリフティング練習させられるのは、時間がもったいない
と思うようになりました。
それよりも、ミニゲームやキックの練習をした方が息子にとって有益なんじゃないかと思うのです。
世界のトッププレーヤーの多くは、ストリートサッカーで技術や駆け引きを習得しているといいます。
例えば、ルカ・モドリッチ選手(レアル・マドリード・クロアチア代表)は、旧ユーゴスラビアの紛争中の貧しい時代にストリートサッカーに明け暮れていた話は有名です。
サディオ・マネ選手(元リヴァプール・セネガル代表)も、ストリートサッカーで技を磨いています。
ブラジルやアルゼンチンの選手もストリートサッカーで技術や駆け引きを習得しているようです。
幸野 健一氏(FC市川GUNNERS代表)も
リフティングを1時間やるんだったら、ミニゲームを1時間やった方が良い!
サッカーはサッカーをすることでしか上手くならない!
とおっしゃっています。
(以下の動画の22:30あたりです)
幸野健一氏の書籍はサカパパ・サカママさんに絶対にオススメです。
リフティング練習では、ひたすらボールを蹴り上げますが、サッカーの試合中で使う場面はほとんどありません。
リフティング練習のメリットももちろんありますが、
それ以上に、公園で友達とサッカーの試合をする、キックの練習をするといった方が実用性があるのだと私は認識しています。
足への過負荷
子供はまだ骨が柔らかく筋力もありません。
骨や筋力が発達していない子供に、4号球のボールで使ってひたすら練習をさせると負荷が高すぎるようです。
大人にとって4号球ボールはそんなに重く感じませんが、子どもにとっては重いんですね。
日本サッカー協会は、小学生低学年が使用するサッカーボールの大きさは、3号球ボールを推奨しています。
3号球ボール | 4号球ボール |
---|---|
約310g | 約370g (20%増) |
例えば、大人がバスケットボールで毎日たくさんのリフティング練習すると足が痛くて苦痛に感じるようなものかな?
周りにも疲労骨折している子や脚のつけ根や膝を痛めてる子いますよね。
きっと重いボールで練習し過ぎなんだろうなーと思っています。
デメリットまとめ
ネガティブな面をまとめるとこのような感じです。
- 自主性・成功体験を奪う
- 時間がもったいない
- 足への過負荷
だから私は、幼児や小学生低学年が時間をかけてまで頑張らないといけない練習ではないと思うのです。
リフティング練習のメリット
一方で、全くリフティングを練習する必要がないのでしょうか。
もちろんリフティング練習で得られるメリットもあると思います。
- 目標を立て、達成することの成功体験
- 集中力や自制心を養う
- ボールの中心をとらえる
- 脚の可動域を広げること
- インサイドのリフティング
- アウトサイドのリフティング
- PDCAの経験
- できない理由を考えて次に実行してみる「Plan Do Check Action」
そのため、我が子が自主的に練習しているのに、それを否定することはありません。
その否定こそ親の過干渉になります。
我が家のリフティングへのアプローチ方法
リフティング練習による弊害と、息子がまだリフティングに対しての想いが強くないので、我が家ではリフティング練習を促すような声掛けが全く無くなりました。
その代わりに、キック練習に重きを置くようにしました。
休日は親子で公園に行って一緒にボールを蹴っていました。
「息子とのキック練習で工夫したこと」はこちらの記事を参考にしてください↓
息子の輝く表情
小学2年生の冬、仕事から帰ってくると息子が嬉しそうに話しかけてきました。
父さん、今日リフティング7回出来たよ!!
やばっ!すげーじゃん!
周りと比べたら「小2でたったの7回?」と思うかもしれません。
でも後日そのリフティングを見てみると、とてもそれらしいリフティングになっていて非常にビックリしました。
1年前の小1息子と比べたら物凄い成長でした。
最後に私から以下のように伝えてさらにやる気を引き出そうとしました。
いつも継続して練習している成果じゃないかな!?。
(結果に至った過程を褒める)
この調子でやればもっと上達しそうだね!
(希望に満ちた未来を想像させる)
焦らず見守る
リフティングには上達しやすい時期が必ずあると思います。
それは性格や身体の成長具合によるものだと思います。
もちろん幼稚園児でも100回以上できる子もいますが、周りと比べても苦しいのは自分自身と我が子です。
好きだから始めたサッカーが、毎日修行のようになったら悲しいですよね。
いわゆる燃え尽き症候群のように、大人になった時にサッカーへの情熱が失われるかもしれません。
まだ幼稚園や小学校低学年のうちは、焦らずに楽しくボールを蹴っても良いのではないでしょうか。
サッカーが好きであればいつかリフティングも上達するということを証明するために、息子の成長録として今後もリフティング上達状況を更新しようと思います。
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